関ジャニ∞

オタクは過去をなかったことになんてしないよ……(写真参照)

 今年、グループとして初めて野外音楽フェスティバル『METROPOLITAN ROCK FESTIVAL』に参加した、関ジャニ∞。ジャニーズファンがほぼいない会場でパフォーマンスを繰り広げるという、“アウェー”な環境の中であったが、参加していたロックファンは大盛り上がり。「アイドルではなく、ちゃんとロックバンドだった」「ぜひ来年も参加してほしい!」など、ネット上にはロックファンからの好意的なコメントが多数上がるほどであった。また、6月28日に発売したオリジナルアルバム『ジャム』は、前作の『関ジャニ∞の元気が出るCD!!』を上回る勢いで売り上げを伸ばしており、関ジャニ∞の音楽性の高さが脚光を浴びている。

そんな中、6月29日には音楽番組『SONGS』(NHK総合)に関ジャニ∞が登場。楽曲が生まれた背景や、アーティスト自らの人生観などが語られる大人の音楽番組で、過去にはジャニーズアイドルからKinKi Kidsや木村拓哉らが登場し、ファンの間で大きな反響を呼んでいた。今回の放送も、“関西出身”であることの苦悩や、バンドとしての活動を始めるまでの葛藤が、関ジャニ∞メンバーの口から語られていた。しかし、古くから関ジャニ∞を応援しているファンからは、「なんかモヤモヤする……」「当時のエイトが好きだったファンとしては寂しい」と、スッキリしない感想が上がっている。

 番組内でメンバーは、ジャニーズJr.時代に出演していた舞台『ANOTHER』(2002年)を上演していた、大阪松竹座に帰郷。楽屋などをめぐり「懐かしい~!」と笑顔を浮かべる場面もあり、彼らが大阪を中心に活動していた時代を思い出していたファンも多かったよう。また、渋谷すばるは松竹座を「今の自分らの基礎を作らせてもらったとこ」と表現しており、「ただ『グループ』ていうだけじゃない、仲いいっていうひとことではすまされない元ができた場所」と、関ジャニ∞の関係性を作り上げた場所だとも語っていた。

 その一方、デビュー後しばらく“大阪”や“お笑い”をテーマにした楽曲ばかりをリリースしていたことについて、葛藤を抱えていたことを告白。大倉忠義は「コミックソングじゃないけど、そういうので勝負しないで、ちゃんとストレートで勝負したいなっていうのは、確かに思ってた気がしますね」と吐露。特にメンバーの気持ちが揺れていたのは、06年にリリースしたシングル「∞SAKAおばちゃんROCK」のころだったと明かし、錦戸亮は「ようわからん衣装着て、ほんまやらされてるだけやったな。なんでこんなことしてるのかわからへん(と思ってた)」と、苦笑しながら当時を振り返っていた。

 それがきっかけとなり、歌詞や楽曲のタイトルに「大阪」を入れない“正統派”を目指し、バンドを始めることを決意。錦戸いわく、08年リリースのシングル「無責任ヒーロー」の際に、スタッフへ「いいかげんバンドでCD出させてください」と直談判しに行ったらしく、その後10年に初めてバンド形態でシングル「LIFE~目の前の向こうへ~」をリリース。錦戸は「それまでが明るい歌ばっかりやったんで、初めて真剣勝負しにいったっていうか」と語っており、この楽曲が彼らの大きな分岐点になったと、メンバーも感じているようだった。

 この放送にはファンから「メンバーがどんな思いでそれぞれ今まで頑張ってきていたのかよくわかって、すごく見ごたえがあった。永久保存版!」「改めて関ジャニ∞が好きだと思ったし、好きでよかったな~ってしみじみ感じた」との感想も多数あったが、「大阪時代があったからこそ今のエイトがあるのに……なんか過去を否定された気になっちゃったなあ」「本人たちは嫌がってたみたいだけど、大阪コミックバンド時代がなかったらエイトと出会ってなかったよ。『やらされてた』なんて聞いたら寂しい気持ちになる」「昔の自分たちを否定しないで、ちゃんと肯定してほしい。あの時のエイトを大好きだった人もたくさんいるよ」と、彼らの発言にどこか寂しさを感じてしまうファンも少なくないようだ。

 関ジャニ∞の成長を知っているからこそ、過去の自分たちを「ダメだった」というニュアンスで語ることに、ファンは抵抗してしまうよう。どんなに大きなグループになっても、原点を忘れずにいてほしいものだ。